4 posts tagged “ドーバー城”
my favorite museums index 美術館目録
magnifika's world cruise 2006 blog index・世界一周ブログ目次
写真: 上左 カンタベリーへ向かう途中の田園風景 上右 ホワイトクリフの上からフランス・カレー市を眺める
下左から カンタベリー寺院内のステンドグラス 参道の建築物
写真: 左より カンタベリー寺院 寺院への門 キングズスクール
2007/01/12(Fri) 15:33 他サイト掲載
world cruise 2006 No. 42 Canterbury
2006年5月29日(月) カンタベリー
荷物の中に分厚い文庫2冊のチョーサーの「カンタベリー物語」を入れて船上で読みながらやってきた。午後のツアーでいよいよカンタベリーに向かう。カンタベリー・ドーバー間はおよそ70km。バスの車窓からイングランドの田園を眺めながら行く。羊の群れが草を食み、ブラックソーンの白い花が咲きほこる。眼を通して雲の色、草の緑、空気の香りが体の中に取り込まれてくるような感覚を楽しむ。40分ほどでカンタベリー着。
大勢の観光客。バンクホリデーでもカンタベリーの店は全部開いている。大聖堂への道の両側は古い建物が多い。建築も見飽きることがない。首の根っこが痛むほど見上げながら歩く。
カンタベリー大聖堂はご存知のようにイギリス国教会の総本山である。597年ローマの修道士聖オーガスチンが設立した修道院を元に聖地となった。ゴシック建築様式の華麗な建造物は1988年に世界遺産に登録されている。何気なく歩く石畳も、火打石をはめ込んだ塀も、磨り減った石段もカンタベリー物語に登場する参拝者の一人ひとりを想像せずには通り過ぎることができない。ガイドに「カンタベリー物語」を読みながら今日を楽しみに航海してきた、と言うと感激されてしまい、自由時間に特別に会堂裏側にあるキングズスクールカンタベリー校に案内してくれた。貯水槽跡の建物を右に回って行くと開けた中庭の左手奥がキングズスクール。サマーセット・モームの学舎である。遺言によりこの図書館前の庭のバラの根元にその遺灰がまかれたと伝えられている。ここにはどうやら観光客を入れてはいけないらしいのだが。
またカンタベリーでは12世紀に大聖堂内で暗殺された大司教トーマス・ベケットの名を知らないと話のつじつまが合わず面白さが半減する。ヘンリー2世と裁判制度をめぐり対立したベケットはノルマンディからドーバーを渡ってきた刺客に暗殺される。しかし民衆には常に人気のあった「ケントのベケット」である。彼の参拝に詣でる人が時代を越えて現代でも多くカンタベリーを訪れると言う。ベケットの聖所が350年余も経ってヘンリー八世の勅令で取り壊されたりしている。よほど王の独断偏見政治の根幹を突いた信念の持ち主であったのだろう。
大聖堂をゆっくり参拝して帰りがけ「クリフヘッド」と呼ばれるホワイトクリフの崖っぷちの草原に立ち寄る。切り立っているため白い崖は全く見えないが、船から見た時もクリフの上にただただ草原の緑が広がっているだけで建物がなくのびやかな景観が広がっていて感銘を受けた。実はここが美しく保たれているのは、イギリスで広く知られている「トラスト」制度に負っている。この地も開発を逃れ、従来の姿のまま今でも美しい景観を楽しめる所以だととガイドが語ってくれた。
クリフヘッドに立って海の向うを眺めると肉眼でもフランスが見える。望遠鏡を使うとカレーの街が触れられるほど近くにくっきり見える。右手の港にはASUKA IIが船体を休めている。今夕7:00出港。ドーバーを最後にこれからまるまる1週間カナダケベックに入港するまで海上生活である。ヨーロッパ最後の日を感慨深く過ごす。
出港後英国海岸沿いの町々の明かりがいつまでもみえている。